コマツとコム デ ギャルソン社社長である川久保玲氏が出会ったのは、20数年ほど前のことでした。
当時、小松ストアーを運営していたコマツは、入店していただきたいテナントを幅広く考えている最中でした。その候補のひとつとして、コム デ ギャルソンがあがっていたのです。
残念ながらそのときは川久保社長とコマツのタイミングが一致することなく、そのまま時が流れていきました。
そしてギンザコマツとしてリスタートする段階で、改めて川久保氏との再会があり、旧アネックス館である西館に「DOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS(ドーバーストリートマーケット ギンザ・コム デ ギャルソン)」を展開していただく運びになりました。
「DOVER STREET MARKET」は、川久保氏がディレクションするコンセプトストアで、ロンドンの本店の他、ネットショップ「ZOZOTOWN」内に店舗を構えているだけで、東京・青山に期間限定店舗をオープンしたことはありますが、実店舗型の常設店は国内初。
日本人にはファッド(Fad=一過性の流行。熱しやすく冷めやすい)志向の方が多いようで、ファッションブランドの人気ひとつとってみてもめまぐるしく変化しますが、ギンザコマツとしては長期にわたり、おつきあいができるテナント、そしてお客さまを求めていました。
それはひとえに、テナントと長いおつきあいをすることで、お客さまとのおつきあいも一過性のものでなくするため。継続的な関係を構築することで、より一層、お客さまに満足していただくことができるのではないか……と考えたからです。
「DOV DOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS」は、6フロアから成り、コム デ ギャルソンのオリジナルブランドはもとより、多彩なブランドがそれぞれの世界観に基づいてショップを出店しています。
3階の「LOUIS VUITTON」は、コンセプトストアとしてメンズスタジオ&スタイル・ディレクター Kim Jones(キム・ジョーンズ)による最新のコレクションをラインナップし、またウィメンズコレクションやレザーグッズなどは、テーマを設けて期間限定で展開していくそうです。5階の「Celine」は、白を基調に人気のバッグコレクションの他、多彩なウェアをそろえています。
そして、1990年にCarla Sozzani(カルラ・ソッツァーニ)氏がミラノでスタートし、川久保玲氏との共同編集で2012年春まで青山で展開していた「10 corso como(ディエチ コルソ コモ)」は、6階に単独出店しています。
そして、現代美術の旗手として活躍する名和晃平氏が手がけた彫刻「ホワイトパルス」も常設展示。
館内では、コム デ ギャルソン社のショップスタッフに加え、一部店舗でブランドのショップスタッフが店頭に立ち、接客しています。
オープン時には、各店舗からリリースされる限定アイテムの他、2階の「A BATHING APE®(ア ベイシング エイプ®)」と「PLAY COMME des GARÇONS(プレイ コム デ ギャルソン)」、4階に特設スペースを設けた「mastermind JAPAN (マスターマインド・ジャパン)」と「DOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS」、5階の「Supreme(シュプリーム)」と「Comme des Garçons Shirt」といった、意外性のあるコラボレーションアイテムが販売されました。
川久保氏は、「さまざまな分野からさまざまなクリエイターが集い、美しい継続的なカオスの中で、互いに遭遇するマーケットのようなものを創造したい」と語っています。
この「美しきカオス」の哲学こそ、「TOKYO」のショップとしてお客さまにアピールできるコマツが求めていたものでした。
ロンドン本店の2倍の売り場面積を持つ「DOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS」は、訪れるたびに発見のあるショップです。創業以来、「夢を与える」ことをモットーとしてきたコマツにとって、思いを同じくするショップとして、お客さまに愛されていくことを願っています。