新たなリニューアルオープンに向けての一時閉店、その日を迎えるまでの毎週金曜日に行っていたのが、「シャンパンナイト」と呼ばれる催しでした。それは、来店頂いたお客様にサービスでシャンパンを振る舞い、そのシャンパンを片手にギンザ・コマツを回遊して頂くというもの。おかげさまで多くのお客様に参加いただき、沢山のご好評の言葉を頂戴しました。
シャンパンを片手に、商品を見るなどといった行為は、おそらく他の百貨店ではありえない光景でしょう。ギンザ・コマツ以外での実施は不可能であるだろうというのも過言ではないでしょう。
シャンパンが万が一、こぼれて商品を汚してしまったらどうするのか。各店舗からの了承が、簡単に降りる訳は無い。すべてのお客様に、シャンパンを楽しみながらのひと時を、ご満足いただけるのか。問題は山積みのように思えるかもしれません。
しかし毎週、途切れる事無く、執り行われ続けたのには訳があります。もちろん、お客樣方の喜んでくださる顔や声。楽しみにご来店いただける方々の客数。そういったものが後押ししたのも事実。何よりも、最初に実行まで突き動かした原動力は、小松ストアーがギンザ・コマツであるための信条に由来すると思っています。お客様に商品を手に入れるということ以外のものを体感していただく。それを提供するのが、私たちの役割だと思っています。買い物だけではなく、ギンザ・コマツに訪れて、時間を過ごしてもらうこと。それが結果的にお客様の財産に繋がるような、そんなひと時を過ごしてもらいたい。そして、その時間がお客様お一人お一人の「その人らしさ」を見つけてもらえる体験になるのではないか。そのお手伝いをさせて頂くのが小松ストアーの仕事。
他ではやっていないけれど、きっとお客様は満足してくださる。その時間と空間を作れるのは、ここ以外にない。その思いで、テナントとして入っている各店舗へ提案してまわったところ、すべて快諾。今まで築きあげた関係性があったからこそ、可能であったことだとも自負しています。
小松ストアーには格式張ったマニュアルはありません。皆で作り上げるのが、小松ストアーのスタイル。皆で作り出して行くのが、小松ストアーのマニュアルです。そうして、作り出されてきたものこそ、独自のサービスであり小松ストアーらしさだと考えています。小松ストアーだけで作り出すのではなく、関わった全ての人と一緒に作り上げて行く。皆で次々と新たに作り出して行くのが、小松のマニュアルなのです。
いつでも「今できること」を探すこと、そして実現していくこと。それが、小松ストアーが斬新であると言われる事をやり続けてこられた理由です。新しい事とは自分が楽しいと思う事を、お客様にご提案すること。それは、決して「新しさ」にこだわることでは無く、結果的に新しいと感じてもらえることをやってきたということにすぎません。そして、それが小松らしさに繋がってきたのだと思っています。その姿勢は変わらずに、これからも邁進してまいります。
新たなギンザ・コマツの誕生にも、そうした他にはない、ギンザ・コマツに関わる全ての人で作り上げた、独自のサービスがきっと生まれて行くと思っています。