現在はおしゃれで優雅な街<銀座>に面して営業している小松ストアーですが、創業当時は今とはおよそ想像がつかないような<銀座>でスタートをきりました。 小松ストアーが誕生した時代は、まだ物が不足した情勢でした。当時は戦後まもなく、まだまだ明るくはない世の中。もちろん<銀座>も例外ではありません。そのような時代に、また、そのような状態の街<銀座>に小松ストアーは産声をあげました。 戦前、飲食店を経営していた小坂家ですが、世の中に飲食店が次々と開店していく市場状況を見て、大きな転業を試みます。飲食店ばかりが立ち並ぶ中に、同じように飲食店を経営しても、ダメになってしまう。そんな気持ちから、転業をは...
お客様おもてなしするうえで、ギンザ・コマツのスタッフが日々心がけてきたのが『四つのネス』という言葉です。これは創業者・小坂武雄が残したもので、記されたのは今から50年以上前のことです。しかし、その心は現代の私たちに確実に息づいています。 「繁栄は、カインドネス(親切)、クイックネス(迅速)、クリーンネス(清潔)、ソートフルネス(思いやり、相手の身になって考えること)の四つの『ネス』にある」(小坂武雄著『新しい商人』より) ギンザ・コマツはいわゆる百貨店とは違います。大規模な小売店に比べれば、売り場の面積は小規模、紹介できる品物も限られています。しかし、一人ひとりのお客様ときちんと対話がで...
昭和31年、小松ストアーは百貨店法が改正されたことを受け、また中規模小売り専門店として再スタートするために、10年間開業し続けた本館を一新。そのために、一年間の大規模な工事が執り行われることになりました。 その大規模な本館工事中に、思わぬ事件が世間を賑わせる事となります。それは工事現場からの小判発掘というニュースです。「銀座の建築現場から小判発掘」、その嬉々たるニュースは新聞で大きく報じられ、全国を駆け巡ります。 改築するための工事中に小判<金>が出て来るとは、なんとも縁起が良い話であります。滅多に遭遇しない小判発掘という出来事ですが、商いをするための場所を建てている場所から<金>が出...
何か新しいことをやってくれるのが、小松ストアー。そんな風に言われていた時代もありました。 昭和53年に店内の大改装に乗り出します。第3期小松ストアーの始まりでした。社名も「ギンザ小松」に改名し、銀座のファッションセンターというキャッチコピーを打ち出して行きます。新しい事をやっていることにかけては他より数段上、日本のファッショナブルと言われる流行の発信地となっていきます。 しかし、新しい事をやろうと躍起になっていた訳では有りません。新しい事とは、何か新しい事をやろうと思ってできるものではないのです。新しいことをやろうと思ってから行動を起こすのでは、新しいものにはなりません。どう感じるかは、...
昭和21年の冬、小松ストアーは街に新しい風を吹かそうとある試みを始めました。それが「クリスマス・セール」でした。 当時は、今ほどクリスマスは一般的なものではありませんでした。年末の繁盛期、多くの店は「歳末大売り出し」「年末セール」の看板を掲げましたが、「クリスマス・セール」と打ち出すのは小松ストアーだけ。クリスマスという言葉の新しさはもちろん、この時期だけの特別なサービスが大変な評判を集めました。なかでも注目を集めたのが、クリスマス専用の包装紙。物資が不足していた時期のこと、新聞の紙でさえ入手するのが困難なか、中身はささやかでも、特別な日に特別なものを……という心の声に、包装紙を提供するこ...
小松ストアーには昭和62年に行われた改装以来、銀座通りに面した1階にアートスペースが設けられます。小百貨店になぜアートスペースがあるのか。しかも1階正面と最も目立つ場所、お店の顔とも言えるところに。 そこには文化を重んじる小松ストアーならではの発想がありました。そしてまた、他がやっていないことをやる、小松ならではの取り組みであったといえます。 自分らしさとは何か、それは自分で見つけた、体感した良いものを取り入れる事と私たちは考えます。自分らしさというのは自分で体感したことから、自分で見つけていくもの。そんな自分らしさを小松ストアーは、お客様に見つけてほしい。そんな生活スタイルのお手伝いが...
百貨店にとって、ショーウィンドウとは何か。答えは簡単に思えるかもしれません。最もコストがかからずに販売促進が行える身近なツール。もしかしたら、それが多くの解答かもしれません。その解答も、決して間違っていないでしょう。しかし、小松ストアーにとってのショーウィンドウとは、それが答えではありません。 お客様と繋がる唯一の窓。お客様と関係を持てる最初の扉。それが小松ストアーにとってのショーウィンドウです。 創設者である小坂武雄は、ショーウィンドウの狙いは通りがかりの人たちに親しみを持たせることにあると語っています。(小坂武雄著『新しい商人』より)品物を目一杯飾るというのは、販売戦略の上では大変有...
小松ストアーの屋上には、お社があります。まるで天空神社と名付けるのにぴったりの、都会の中とは思えない、広い空の真下に、それは位置しています。 そのお社が祀っているのは、三輪明神・大神。大神神社は三輪山と神体山としていて、上代の信仰のかたちを今に伝える日本最古の神社です。 お社が設置されたのは平成4年のことでした。きっかけは、ひょんなことでありました。イベントスペース「アミュゼ」で展覧会を開催していたアーティストが、展覧会の無事を祈って、大神神社のお清めの砂を撒いているのを社長である小坂敬が見て、関心を持ったのがきっかけでした。 当時、社員が勤務中に亡くなるという悲しい出来事があったり、自...